タイシンブログ
【代々木校】土方先生より「東京でも数年ぶりにかなり雪が降りました」
カテゴリ:タイシン代々木校
公開日: 2024年2月19日 14:20
代々木校の土方です。
2月5日から6日にかけて東京でも数年ぶりにかなり雪が降りました。
都心でも約8cmの雪が積もったそうですが、私の住んでいる多摩地域の町田市でも8㎝か、それ以上の積雪がありました。
数年ぶりということなので、何年振りかを調べてみると、令和4年1月6日に、今回同様都心でも10㎝近くの雪が降ったそうです。
「降ったそうです」というのは、わずか2年前のことなのですが、全く記憶にないからです。
(雪降る代々木・タイシン近隣 浦野先生撮影)
それに比べて、今回の雪は記憶に残る雪になりました。
超高齢社会の日本では、2025年問題や2040年問題などが大きな問題となっています。
日本体育大学保健医療学部の総合型選抜の総合考査対策の授業で、高齢者問題や、健康寿命延伸の課題などを生徒に講義はしていますが、それを自分が住む地域社会の、切実な問題として感じたことは、正直あまりありませんでした。
ですが、この雪のおかげで、こういった問題を、我が身にかかわる、身近なものとして考えさせられたからです。
6日は休みにあたっていましたが、普段より早起きし、自宅前の道路と、神奈中バス(神奈川中央交通バス)が走る桜並木通りに通じる階段の雪かきに取り掛かることにしました。
家の前に出ると、もうすでに雪かきの音が聞こえました。
近所のAさんと、Bさんが作業に取り掛かっていました。
挨拶をし、階段を見に行くとAさんの長男のUちゃんがベンチコートをまとい、スチール製の大きな雪かきを振り動かしていました。
Uちゃんと言っても、私より2つ年下のおじさんです。
幼馴染だから「ちゃん」と呼んでいるにすぎません。
雪かきをしているのは、この4人だけでした。
Uちゃんが私の方にやってきました。
「おはようございます。いやあ、雪かきも世代交代ですね。若いのは僕らだけですよ。」
「Uちゃん、「若いの」っていうけど、俺らはもう50代だよ。ぜんぜん若くないよ(笑)」
「あはは、そうですね(笑)」
「階段右側全部やってくれたんだ。ありがとう。左は俺やるから、自分のうちの前をやんなよ。」
「Uちゃん、「若いの」っていうけど、俺らはもう50代だよ。ぜんぜん若くないよ(笑)」
「あはは、そうですね(笑)」
「階段右側全部やってくれたんだ。ありがとう。左は俺やるから、自分のうちの前をやんなよ。」
階段を済ませたあと、自宅前に戻るとHさんと、お隣のCさんご夫妻、Dさん、お向かいのEさんが雪かきに加わっていました。
全部で7人。
うち、40代が1人、50代2人、75歳以上が4人。
20~30代は0です。
当然のことながら80代以上の方、私の親と同じ年代の方はやはり一人も出ていない。
母が長年親しくさせていただいているFさんのお宅は、私の家の前の道が坂道になっている上の方にあるのですが、見に行くと人影はなく、雪は手つかずになっていました。
Fのおじ様は近年体調を崩されているし、母と同年代のおば様にやらせるのはいかんと思い、雪をかきながらお宅に近づいていくと、フェンスが開き、おば様が出てきました。
「俺やりますから、まかせください。」
「えっ、そうなの。いいの?」
「ぱっとやっちまいますんで。」
「えっ、そうなの。いいの?」
「ぱっとやっちまいますんで。」
Fさん宅前を終え、Cさんご夫妻のお手伝いをし、その他近所のお宅の前の雪かきをし、自宅の庭の雪かきを終えたとき、時計はとっくに正午を超えていました。
見渡すと道路の雪はきれいに道端にかき上げられていました。
夢中になっていたので、気づきませんでしたが、ゴム長靴をはいていたにもかかわらず、足はびしょ濡れ、冷えきっている。
じーんと痺れていて、時折鈍く痛い。
仕方なく風呂を沸かしました。
ゆったり風呂につかりながら、ふと思いました。
これから10年後、15年後、雪が降ったら誰が雪かきをするのだろうか、と。
ざっと数えてみたのですが、私が小学生だった頃に比べると、近所の子供の数は3分の1ほどか、それ以下になっている。
周囲はおじいさん、おばあさんが殆どで、それを除くと40代半ばから50代半ばがいるばかり。
よく考えてみたら、私を含め近所の方たちが懸命に雪かきをしたのは、家の前の道路が市の運営するコミュニティバスのルートになっているからです。
コミュニティバスは、私たちが住む坂ばかりの町で、高齢者が駅前へ出たり、最寄りのスーパーに行ったりするのに不可欠な交通の便になっているのです。
雪の日は運行停止ですが、翌日も残雪が凍結しまえば同様の事態になるので、そうさせまいという意識がどこかにあって、住人は懸命になって雪かきしたのでしょう。
自分が高齢者になったとき、雪かきをしてくれそうな人は思いつかない。
他人に頼らず、できる限り自力でやるしかない…。
とはいえ、今の体調や体力のまま年を取るわけではないし…。
10cmに届くか届かないかの雪で何か暗い気持ちになりなってしまったわけですが、高齢社会を知識ではなく、肌で感じた出来事だったと思います。
ここから何か行動に移せたら良いのですが。
その後の天候も良かったせいか、残り雪は数日で道端からもほとんど姿を消しました。
冬に溶け残る雪を見るたび、『キャリックファーガス』(Carrickfergus)というアイルランド民謡の一節が何故か頭をよぎります。
この歌を初めて聞いたのは1988年、高校3年生の時でした。
北アイルランド出身のロックシンガー、ヴァン・モリソン(Van Morrison)が、アイルランド伝統音楽を専門とするザ・チーフタンズ(The Chieftains)と合作したアルバム『IRISH HEARTBEAT』に収録されていました。
My childhood days bring back sad reflections
Of happy times I spent so long ago
My boyhood friends and my own relations
Have all past on now like melting snow
子供時代を私は悲しく振り返る
遠い昔に過ごした幸せな時代を
少年時代の友たち、ゆかりある人たちは
みな溶けゆく雪のように消えていった
深い哀愁を称えたメロディと歌詞をもつ歌が、若き日の私のセンチメタリズムに「刺さった」のでしょうか、ひとたび聞いて忘れられないものとなりました。
今でも時折聞いていますが、上の一節をもはや青い感傷だけでは聞けなくなりました。
街角に積まれた残雪が気づかぬうちに、あとかたもなく消えているように、年々身内、友人が姿を消していきます。
未来という言葉を聞くと、進歩と発展という希望に満ちたものを連想しがちですが、今ある物や人が古くなり、朽ちて、消えていく時でもあります。
2025年には約800万と推定される団塊の世代が、後期高齢者になり、人口ピラミッドを見るとでっかい層をなしています。
2040年には、団塊の世代の子供たち、団塊世代ジュニアが…。
雪の如くあっけなく浮世から消える前に、一体何回腰を痛めて雪かきせにゃあならないかと思うと嫌になりますが、後ろ向きに物事を考えても仕方ないので、数日前から3年前までやっていた筋トレを再開しました。
今後永く雪かきをやらねばならぬ以上、鍛えておかねばいけません。
なまっていた体に喝を入れないと。
とはいえ、6日から3日間、痛み止めを飲んでタイシンへ通っていた身ですから、むろん無理は致しませんが(笑)
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