タイシンブログ
【代々木校】土方先生より「秋といえば...」
カテゴリ:タイシン代々木校
公開日: 2023年10月30日 14:15
代々木校の土方です。
だいぶ秋らしくなりましたが、まだ暑いとさえ思える日もあって、外出するのに何を着ていくべきか迷う日が多く、困りものです。
秋といえば「食欲の秋」。
今年は我が家の庭の柿が異常なほど豊作で、枝がしなるほど。
柿が豊作なのはウチだけではないようで、近隣の家々の庭でも同じようにたわわに実っています。
市村先生のお宅でも豊作だそうですが、先生曰く「量は多いが、味が薄くてイマイチ」だそうです。
「美味しくないから、あまり野鳥につつかれていないんだよね」とのこと。
後日庭に出てみたところ、確かにウチの柿もあまりつつかれていませんでした。
食べてみたら、やはり先生の言う通りあまり美味しくなかったです。
先ほど「食欲の秋」と言いましたが、「~の秋」という表現は多いですね。
私が即思いつくのはその他に「実りの秋」、「収穫の秋」、「読書の秋」、「スポーツの秋」、「行楽の秋」くらいですが、まだあるだろうと思い、ネットで調べてみましたら、新聞や雑誌で使われている「~の秋」という表現には11種類あると紹介しているHPがありました。
私が挙げた6つ以外に「芸術の秋」、「紅葉の秋」、「音楽の秋」、「睡眠の秋」、「美術の秋」の5つがあるそうです。(「四季おりおり快適生活」HPより)。
その中で、ある程度馴染みがあるのに、すぐ思い出せなかったのが「芸術の秋」と「紅葉の秋」。
「美術の秋」は前者の類似表現ですが、私は「芸術の~」の方がしっくりきます。
でも、どうして「芸術の秋」というのでしょうか?
どう考えてみても見当がつきません。
「読書の秋」というのは、確かに涼しい秋の夜長は、心を落ち着かせて読書に耽るのに適していると思うので、由来がわからなくても納得する表現なのですが、なぜ「芸術の秋」なのか?
「音楽の秋」というのも解せません。
なんでも「秋」をくっつけりゃあいいのか、とさえ思えます。
さきほどのHPでは「芸術の秋」というのは、日展や院展・二科展等の権威ある美術公募展が秋に開催されていることが由来であると書かれていました。
それで合点がゆきました。
では「音楽の秋」は?
「読書の~」と同じ理由、つまり秋の夜長はゆっくりと音楽を堪能するのに適していることから来たのだろうと思いました。
もちろんそれもあるのでしょうが、他にも理由があると思い、いろいろと調べてみると、音楽会が秋に多く開催されるのには、どうやら天候が関わっているようです。
木製の楽器は温度や湿度の影響を受けやすく、温度・湿度共に安定している秋が楽器にはやさしい季節なのだそうで、楽器を持ち出して各地で演奏会を開くのに適しているというわけです。
これもすっきりしました。
「~の秋」という表現で、一番納得が行かなかったのが「睡眠の秋」です。
「睡眠」を季節と結び付けて考えるなら、私は春が馴染み深いです。
それは「春眠暁を覚えず」という言葉のせい。
これは中国の唐代の詩人孟浩然の有名な詩の一節なのですが、詩全体を読んだのは確か大学時代ですが、誰が書いたとも知らずに「春眠暁を覚えず」という言葉を、小学生の時から、春に寝坊したときの言い訳に使っていたように思います。
9月3日が「ぐっすり」の語呂から日本では「睡眠の日」になっていること、秋になって涼しくなり、寝苦しさもなくなり眠りやすくなることもあるから、おそらく「睡眠の秋」という表現が出てきたのでしょうが、「春眠暁を覚えず」が染みついている人間にはどうもしっくりきません。
秋と「眠」という語を結びつくとしたら、秋が「冬眠」に備える動物が活発に活動し、体に栄養を貯える季節であることくらいしか、私には思いつきません。
冬眠をする動物というと、私の頭に真っ先に思い浮かぶのはクマです。
クマといえば、今年は春から全国で人がクマに襲われる被害が多かったですが、特に10月に入ってからは連日のようにクマのニュースが飛び込んできています。
特に青森、岩手、秋田、福島が多く、そのなかでも秋田県がずば抜けており、全体の3分の1以上を占めているそうです。
これまでクマの出没がなかった地域でもクマが目撃されており、私の住んでいる町田市でもクマが姿を見せたというニュースを聞いてびっくりしたばかりです。
NHKの調査によると、クマに襲われてけがをするなど被害にあった人の数は、今年度はこれまでに、17の道府県で少なくとも160人にのぼり、国が統計を取り始めて以降、最も多かった3年前の158人を上回る被害となっているとのことで、過去最悪のペースだそうです。
今年目立つのが、住宅地や商業地など「人間の生活圏」での出没で、その原因として、まずクマの好物であるブナの実が凶作だったことが挙げられています。
ブナの実は今年、環境省に結実状況を報告した23都道府県のうち17道府県で凶作だったといいます。
無論それだけが原因ではなく、高齢化や過疎化で農業集落数が減少して人が人里の人口が減ったこと、またクマを駆除する狩猟者も高齢化し、減少していることも原因にあるとも言われています。
昨年9月新宿駅構内にタヌキが出没し、ちょっとしたニュースになったことがありました。
これは微笑ましいニュースでした。
タヌキの姿がかわいらしく鮮明に記憶に残っています。
ですが、ここ数年で多いのは野生動物と人間が、人間の生活圏で遭遇し、お互いが不幸な結末になるケースです。
今秋のクマ出没数の激増はその最たるものだと思います。
豊かな自然が間にあって、両者を分けていないと、クマと人間の関係は悲しいものにしかならないような気がします。
人間にとっても、クマにとっても、今秋は安心して眠れたり、冬眠に備えたりできる穏やかな「睡眠の秋」とはとても言えないようです。
「読書の秋」ですから、宮沢賢治の「なめとこ山の熊」を久しぶりに読み直してみました。
クマが出てくる文学作品というと真っ先に思い浮かぶのがこの作品なのですが、いつ読んでもせつないお話です。
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