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【大阪校】新井先生より「文章の読み方にも『型』があります」

カテゴリ:タイシン大阪校
公開日: 2023年7月 3日 10:54
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みなさん、こんにちは。
大阪校で現代文と小論文を教えている新井といいます。


毎年、高校3年生のみなさんを相手に授業をしていて思うのですが

ほんとうに「文章を作る」ことに苦手意識を持っている生徒が多いのだな、と感じています。

で、それはなぜだろう、と毎年考えてきたのですが

最近「ひょっとして、アレが原因ではないだろうか」と思い至ったことがあります。



それは「オリジナルの(あるいは、個性豊かな)、何なら美しい文章を書いて、評価されなければならない」という〝呪い〟のようなものを、どこかでかけられているのではないか、ということです。(いや、〝呪い〟というとちょっと大げさか)

この「オリジナルの(あるいは、個性豊かな)、何なら美しい文章を書いて、評価されなければならない」ということは、単なる思い込みに過ぎません。

そんなものはプロでも難しい。

職業として文章を書く人が悩み、苦しむことです。別にみなさんが同じように思う必要はありますまい。


たしかに「良いものを自力で書こう」とか、「誰も書いたことのないようなものを書こう」とか、「賢そうなことを書こう」という意気込みを持つことは悪いことではない。

しかし、この意気込みが空回りすることのほうがどれほど多いか!

そして、そのことでしくじることがどれほど多いか!


私はここでみなさんに違うことを言おうと思います。

〝「型にはまった」ことができるようになることのほうがよほど大切だ〟ということです。

「型にはまる」という慣用句自体は、現在ではあまり良い意味に使われない。

けれども、武道もお茶もお花も、能・狂言から文楽・歌舞伎、落語にいたるまで、日本人はこの「型」をいかに身につけて、暮らしのなかにどう生かすかということに心を注いできました。

着物の着つけや箸の扱いにも美しい「型」があります。

文章を作ることにも、そして文章そのものにも「型」があります。

あるいは、文章の読み方にも「型」があります。


「型」のよいところは、「型」を身につけさえすれば、ゼロから自分で考えなくとも〝からだがひとりでに動き出す〟ことです。

こういうと摩訶不思議なことのように聞こえますが、じつは「型を身につける」ということは「これからすべきことはすべて行動として段取りされていて、その通りに動けば、そこそこのものを生み出すことができる」という見通しを、自分の中に持つことができるようになるということです。

私は授業で「型をはっきり示して、自分で見通しを立てることができるようになってもらう」ことを心がけています。


さて、文章を書くために身につけるべき「型」には、「読みの型」、「考えるための型」、「文章の型」の三つの「型」があるということを知っておいてもらいたいと思います。

ここでは「読みの型」というものがあらゆる作業の基盤になるということを書いて、終わりにします。



みなさんがこれから取り組まなければならない「志望理由書」とか「学修計画書」とか、「小論文」とか「論述試験」とか「総合考査」とか…入学試験で課される文章には必ず《設問》がついています。

あるいは、国語の長文総合問題であっても「問一 傍線部①の説明としてもっとも適切なものを…」というように《設問》があります。

これら設問をみなさんはいままでどれだけ丁寧に「読解」したでしょうか。


《設問》はみなさんに対する「呼びかけ」であり、「指示」であり、「ヒント」です。

他者の呼びかけに耳を傾けるのは、ひとりの人間として当然のことだと私は思います。

そして、その呼びかけを自分勝手に理解してしまってはやりとりが成立しないでしょう。

日常の人間関係であればだれもが心を傾けることです。

でも、文字となって書かれたものに心を傾けようとしない。

これっておかしくないですか?どちらも同じ「ことば」のはずなのに…。


相手の呼びかけの「何に注意すべきか」「どのように受け取るべきか」には「型」があります。

「読み方の型」というのは、相手から投げかけられた表現のどこに注意をすべきかということについて、その「決まったパターン」を身につけるということです。

とくに、「文字」として表された「ことば」では、このパターンが明確なのです。

国語の授業や文章作成系統の授業で、みなさんに本当に身につけてほしいのはこの「読みの型」なのです。

この型は入試の文章に限らず、日本語であればあらゆる文章に共通した「心得」です。

みなさんは入試の勉強を通して、一生モノの技法を身につけることになります。



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