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【大阪校】新井先生より「体育・スポーツ系大学の小論文について」

カテゴリ:タイシン大阪校
公開日: 2022年8月29日 09:00
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みなさん、こんにちは。
大阪校の新井です。


いま、タイシンの大阪の校舎では小論文の対策の真っ最中です。

当然、体育進学センターで扱う小論文の内容は、大阪体育大学や天理大学、中京大学などの入試で出題されている「運動・スポーツ」の分野に特化したものが大半なのですが、毎年小論文を教えていて思うことは「スポーツのことについて、もっと広い世界があることをみんなに知ってほしいんやけどな」ということです。


たとえば、「生涯スポーツ社会」というテーマが過去問を見るとよく問われています。

そもそも、この概念自体は高等学校の保健体育の教科書では必ず触れられるものです(ちなみに、〝概念〟という語の意味が分からない人、国語辞典をひいて調べましょう。大学入試では頻出の語です!)。

簡単に言うと「子どもから高齢者まで、ジェンダーに関係なく(今であれば、LGBTの人たちも含めて考えるべきでしょうね)、身体や精神の障害の有無を問わず、所得の多寡(「たか」と読みます。これも辞書をひいて意味を調べましょう)に関係なく、あらゆる人がスポーツを楽しみ、親しむことのできる社会」ということでしょう。


さて、このテーマで生徒たちに論考させると、どうにも「物足りない」内容の作品が多いのです。

その理由は簡単で、大半の高校生にとってスポーツとは「部活でやっていること」「体育の授業でやっていること」、そして「テレビで見るもの」だからです。

つまり、スポーツについて見聞きする場所が「学校」と「マスメディア」にしかないのです。

スポーツに取り組んでいる人は「自分とその仲間」か「有名なトップアスリート」しかいないわけです。

でも、本当にスポーツに取り組んでいる人ってそういう人たちだけなんだろうか。


「生涯スポーツ」が行なわれているのはどういう場所か。

それは、実はみなさんが住んでいるお家の周辺、つまり私たちが暮らす「町の中」なのです。

そういう取り組みを「知る」ことだけでも大事なのです。

たとえば、私はよく「駅の改札のわきにある、市町村のお知らせをもらって来なさい。かならず〝今月のスポーツ〟っていう記事があるから」なんて授業で言っています。

私は神戸市で暮らしていますが、神戸のあたりでは生活協同組合コープこうべが店舗や地区単位でスポーツ活動を行っていて、その詳細が袋詰めの台のところに置かれています。

みなさんの身近なところで、スポーツを楽しむための取り組みがたくさんあることを、どれだけの人が知っていますか?

そして、そういう取り組みが「何のために」なされてきたのかを考えたことがありますか?(ちなみに私は、「自分が暮らしている地域で友達を作るきっかけになるから」だと考えています。)


16~17世紀のイギリスの哲学者であるフランシス・ベーコンは「知は力なり」という言葉を遺しました。

「私はそのことを知っている」ということは、誰かよりも優位に立つから「力」なのではありません。

自分の目の前には広々とした世界があって、そこにある「思ってもみなかった幸せ」を探し出すことのできる「力」なのだ、と私は思います。

小論文を書くために知っておいてほしいことはたくさんあります。

けれども、それは単に「小論文で得点するために覚えておきなさい」ということではなくて、私たちの日々の暮らしを少しでも楽しいものにしようと、多くの人々が懸命に取り組んできた工夫を知っておいてほしいからです。

そういう先人たちの工夫に触れることは、みなさんがこれからよりよく生きていくための、そしてよりよい社会をつくるためのかけがえのない財産を引き継ぐことになると思うのです。

小論文の対策は、こういう「思ってもみなかった大切な気づき」を得る場だとも思っています。



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