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【大阪校】新井先生より「体育・スポーツ系大学受験生のための読書術」

カテゴリ:タイシン大阪校
公開日: 2022年7月25日 13:37
http://www.e-taishin.com/diary/img/D-WZnxZUcAAeg_h.jpg

体育進学センター大阪校の新井です。


そろそろ学校が夏休みに入った、という人も多いと思います。

夏休みになって「何か本を読んだ方がええんかな」と心のどこかで思っている人はいませんか?

夏休みの「忘れたい思い出」(!)のひとつに、あの “読書感想文” がありますよね。

今でこそ私は国語の先生をしていますが、じつは私にも苦しんだ経験はあります。

あるいは、この時期に出版社は文庫本のセールスのために「本、読んでんかー」とキャンペーンを展開します。

「普段よりは時間もあるし、読んでみようか、本」と思っても不思議ではない。



❖読書をすれば国語の成績が上がる?

生徒からこういう質問をよく受けます―

「国語の成績を上げるために、本を読もうと思うんですが、何を読んだらいいですか?」

こういう質問をする人には決まってこう答えます

「そんな暇があるなら、学科の授業で習ったことの復習をして、実技の自主トレをしなさい」、と。


ここで結論を言うと、単に本を読んだからと言って、国語の試験に必要な読解力が自ずとつくわけではない・・・・・・・・・・・

これは小論文でも同じであって、それで自動的に書く力が付くわけでは断じてない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

というのも、「試験で文章を読み・書きすること」と、「単にぼんやりと本を読むということ」とはひとまず別のことだと考えたほうがよいからです。

書くことはなおさら別のことです。


では、国語(現代文)の長文読解で必要とされていることは何か――「文法や語法に従って文を見る」ことと「語の意味を正確に受け取る」ことです。

たとえば、「傍線部を含む一文の頭に接続語や指示語はあるか」とか、「空欄を含む一文の主述関係はどうなっているか」と気にしながら読み進めることです。

あるいは、わからない語があれば、スグに辞書を引いて意味を調べるという作業もまた大切です。


問題を作成する人は、文法や語法の知識、語彙力を土台にして、文字によって表された論理や意味を「そのとおりに、厳密に」読んでいるのです。

文法や語法、語彙は日本語を理解するすべての人が共有するルールです。

相手が拠って立つルールに合わせることができなければゲームは成立しない、ということはスポーツに取り組んだみなさんだとよくわかることのはずです。

「ぼんやりと本を読む」ことと「国語の問題を解くために読む」こととは読み方のルールが違います。

長文総合問題には「読み方の型」というのがあって、それを身につけなければならない。

自由気ままに楽しむ読書では、文章を精確に読み取ることはできないでしょう。

波線部は誤字ではありません。各自辞書で意味を調べましょう。)

そう考えると、「ぼんやりと本を読む」ということが、必ずしも国語の成績を上げることに繋がらないということがわかると思います。



❖スポーツについて「知らないことを知るため」に本を読む

もうひとつ。これは総合型選抜や学校推薦型選抜で小論文の試験を受ける人に多いのですが「知識をつけるために何か読んだらええ本ってありますか?」という質問もよく受けます。

私はおそらくこう答えると思います――「保健体育の教科書を読んで、覚えるべきことをしっかり覚えなさい」、と。


たしかに、「有名なスポーツ選手がこういう練習をしていた」とか「優勝したチームにはこういう友情関係があった」という内容の本は「楽しみとしての読書」として味わいながら読むにはふさわしい。

けれども、今みなさんが最優先でしなければいけないことは、本の内容を「味わうこと」ではなく、本の内容を「知って、覚える(暗記する)こと」です。


体育・スポーツ系大学の小論文試験で問われることは「あなたにはスポーツ全体についての知識・・・・・・・・・・・・・がどれくらいありますか」ということだといってよい。

つまり、「社会・・とスポーツ」「経済・・とスポーツ」「人間の生理現象・・・・・・・とスポーツ」…という抽象的なもの、あるいは普遍的なものとスポーツとの結びつき方を知識として知っているかどうか、ということです。

じつは、保体科の教科書が扱っているものはそういうものなのです。

何か読まないといけないような気がするけれど、何を読んでいいかわからないという人には、保体科の教科書をじっくりと読むことを勧めます。

ちなみに、タイシン生だと運動やスポーツに関する知識を学習するためのオンデマンド教材をそこに加えることもできます。



❖どういう本を、何のために、どのようにして読むのか

ここで、誤解してほしくないので念押しをしておきますが、「読書」はムダなことだというつもりは全くないし、そう思ってほしくはない。

「どういう本を読むのか」「何のために読むのか」「どうやって読むのか」ということが大切なんよ、ということです。


ここで最後に「どうやって読むのか」についてアドバイスを。

読むことと並行して以下のことを実行しましょう―

➀ 文中にわからない語、知らない語があればスグに辞書を引いて調べよう。放っておかないこと。

② 「見てるだけ」ではなく、重要な箇所に線を引いたり、ノートをとりながら読もう。
特に読書で得られた「気づき」はどんな小さなことでもいい、殴り書きでもいい、言葉に表現し、記録しておこう。


―「手を動かして、読む」ことの積み重ねがひと月先、ふた月先には思わぬ底力となっているでしょう。

そして、こういう読書の経験はみなさんにとって一生涯の宝物になるはずです。



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